雨戸の戸袋にガムテープが貼られている。何かあるとは思ったが
空き家に限った話ではないが、中古の家には、前のオーナーさんの痕跡がところどころ残されている。
フクロウの家では、雨戸の戸袋にベタベタと貼られたガムテープが、そのひとつだった。
「コレなんだろう。不思議」
1階も2階も、雨戸という雨戸に同じ細工が施されている。
「ムム、何かあるぞ…これは!」
管理人は購入当初こそ、そう思ったものの、「何か」が何なのかはわからないまま月日は流れ、購入後1年半が経過したころ、ついに「なんだか、汚らしいなぁ~」と、ベリベリとガムテープをはがしてしまったのだった。
「うん、キレイになった!」(満足する管理人)
「何か」が何なのか、わかる日がきた
それから2カ月も経っただろうか。
「何か」が何なのか、わかる日がきた。
フクロウの家に到着後、いつものように家じゅうの窓を開けて回ると、なぜか2階の奥の雨戸だけが、開かなくなっていた。
「あれ? たてつけが悪くなっちゃったのかなぁ~??」
ガタガタと雨戸を揺らすが、いっこうに戸袋に入っていかない。
向こう側に、何かが詰まっているような手応えだ。
そのとき、管理人の鼻に、どこかで嗅いだことのあるような臭いが入ってきた。
「ん?これは・・・肥料の臭い」
慌てて、スキマから戸袋方向をのぞいてみると、かろうじて木の枝のようなものが見えた。
「えっ・・・もしかして、鳥の巣!?」
以前ホームセンターで「鶏糞」という肥料の臭いを嗅いだときのことが思い出されてきた。
「ゲゲゲ・・・」
管理人は、ようやく、しかし一瞬にして、ガムテープの意味を了解した。
先人の貼りつけたガムテープは、鳥の巣作りを防ぐための工夫だったのである。
鳥の巣の掃除。本能が「素手で触るな」と言う
臭いはすれど、鳴き声はなし。
目下、鳥が住んでいる気配はなかった。
状況から考えて、どうやら巣立ちが終わったあとの、空の巣のようだ。
いつのまに…(卵、ヒナ、子育て、巣立ち)
もしかして、近隣の方々はピヨピヨとうるさかったんじゃないだろうか(申し訳ない…)
ともかく、このままにしておくわけにはいかない。
掃除である。
旦那を呼び、雨戸を外してもらう。
数分後、ついに全貌が明らかになった。
「うひゃー」
狭いスキマに、ぎっしりと枯草がしきつめられている。
ところどころ黒っぽい鳥の羽も見える。
本能的に「これは素手で触ってはいけないものだ」という感じがする。
軍手とトングが大活躍。あと、マスクも。
トングで枯れ草や羽をつまみ、ホコリをこぼさないように気をつけて、ゴミ袋に移していく。
一人では大変なので、旦那と交代しながらの作業である。
妻「ぜんぜん終わらないね~」
夫「この角度は左利きだと有利だな」(←若干、得意気)
最終的に45リットルのゴミ袋が一杯に。
「いやぁ~、よく作ったね、鳥もすごいや」
あとからネットで調べたところ、どうやらムクドリの巣だったらしい。
「”フクロウの家”だけど、ムクドリの巣か~」
二度と同じ思いをしないで済むように、先人の知恵・ガムテープをしっかり貼り直した管理人だった。