断る勇気。お金にならない仕事

フリーランスの生活

まったく細々とフリーランスのライターをしている。

とあるエージェント(仮にA社)に登録して仕事をもらっているのだが、非常にお世話になっている一方で、ときどき厄介なこともある。「勉強」「打合せ」と称して研修や商談に呼び出してくるのだ。もちろん無給。交通費さえ出ないケースも。

最初のうちは「これも勉強だ」「断ると仕事を貰えなくなるかもしれない」と素直に応じていたのだが、半年も経つうちに、どうやら同じような内容を何度も聞かされていることに気づいた。「仕事につながるから」と言われて商談に同席しても、結局クライアントからの受注がもらえず、無駄足になることも。たび重なるとストレスが溜まり、お金にならない条件での呼び出しは基本的に「お断り」することにした。ついでに「忘年会」「決起会」のような顔合わせの機会もご遠慮することに。

毎回毎回「ご連絡ありがとうございます。申し訳ありませんが、その日程は都合がつきません。残念です」を繰り返す。ものすごく多忙な人物のようだが、一方で「取材費」が支払われる仕事には普通に応じているので、 我ながら見えすいているなあと思う。

“大切な社内研修”の候補日が、向こう3カ月にわたってスケジュール調整ツールに並び、10個以上の候補日すべてに私だけが「×」を入れたときには、なかなか勇気が必要だった。「付き合いで、たまには参加したほうがいいのでは」「やる気がないと思われるんじゃないか」「仕事が来なくなるんじゃないか」「A社から仕事をもらえなくなったら、もうライターって名乗れないかも」という不安がつきまとう。いつもお世話になっているのに、自分勝手で申し訳ないのかなぁと、罪悪感もあった。そのたびに「社員じゃないし」「時間は有限だし」「あとでストレスたまるし」「こういう人だと思ってもらおう」と自分に言い聞かせている。

当然、何か「伝わるもの」があったんだろう。そのうちに、呼び出しの回数は激減した。恐れていたのは「仕事が減るかも」という点だったが、有り難いことに今のところ減った気はしない。いろいろな行事に参加することでもっとたくさんの仕事を回してもらえた可能性もあるけど、「たられば」の話で、本当のところはわからない。元来人付き合いが好きな性格でもなく、気が進まないまま苦痛な時間を過ごすストレスや、無駄な時間を過ごしたと感じてしまうストレスを考えれば、ボチボチかなぁという感じだ。

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